京大の数学は誘導が少なく問題文も短いことで知られていて、何から手をつければいいのか迷う人が多い科目です。この記事では京大数学の形式と傾向・本番の時間配分と解く順番・対策ルートと過去問の使い方を、2026年度入試で数学105点を取って合格した京大生が解説します。結論から言うと京大数学は満点を目指す科目ではなく、6問中3問完答の100点を再現性高く取りにいく科目です。

京大数学の形式と配点

理系文系
試験時間150分120分
大問数6題5題
満点200点150点
各大問の配点原則30点か35点(まれに40点)原則30点か35点

どちらも学部ごとの配点に換算されます。理系はもう何十年も6問構成が続いています。

難易度は年によってブレが大きい

京大数学は年ごとの難易度の差が大きい科目です。2023年度のように理系でちゃんと勉強していれば5問完答できるような簡単な年もあれば、2024年度のようにかなり勉強していても3問が限界という年もあります。

出題傾向:微積分が少なく図形と整数が多い

難易度はブレますが出る問題の傾向は固定的です。いちばんの特徴は微積分が少ないことです。微積分は毎年出ますが6問中多くて3問で、1問や2問の年もあります。阪大では5問中4問が微積分という年もあるのと比べると対照的です。

よく出るのは次の分野です。

  • 図形:図が与えられず初期条件の自由度が高い、一般性の高い図形問題(すっぴん図形)
  • 整数:京大の代名詞とも言える分野
  • 軌跡と領域:最近よく出るようになっている
  • 小問集合:第1問で計算問題が小問集合として出ることが多い

それ以外の分野も満遍なく出ていて、まったく出ない分野は意外と少ない印象です。山を張って狙い撃ちできる科目ではありません。

京大数学の特徴:小問と誘導が少ない

京大の問題は小問が少なく誘導もほとんどありません。問題文も短く一文だけという問題も多いです。

誘導が少ないぶん求められていること自体はそれほど難しくありません。阪大や東大と比べると要求されているゴールは低いのですが出発点も低い、というイメージです。京大が問うているのは、何もない状態から答えまでの道筋を自分で考え、論理を積み上げ、満点の取れる論証として言葉で書き切る力です。

そのため鍛えるべきなのは、誘導されなくても自分から答えに向かっていく発想力と論証力です。論理の大切さは偏差値60前後から本番で合格者平均を超えた論理の勉強法の記事で詳しく書いています。

目標は6問中3問完答の100点

京大が出すのは誘導のない基本的な問題、言わば簡単な問題が簡単な形で出ているということです。まずは基本的な問題をきちんと解けるようにしましょう。レベルで言えばハイレベル数学の完全攻略や真・解法への道に載っている問題をしっかり解けるようにすればかなり戦えます。

戦略面では、医学部以外の理系なら6問中3問を完答して100点取ればほぼすべての学部で合格点に乗ります。あとは英語と理科で合格者平均を超える点数を取れば受かります。筆者は2026年度の入試で数学が105点ほどでしたが、農学部のいちばん上の学科に余裕で合格できました。

数学はどれだけ勉強しても満点を取れるようになるとは限りません。年によっては取れても年によってはまったく取れないからです。満点を目指すより再現性高く3問完答・100点を狙う方向に切り替えるのがおすすめです。100点は凡人でも十分狙える範囲です。

本番の時間配分と解く順番

試験時間は150分で6問なので単純計算では1問20〜25分です。ただ100点を狙うなら半分は解かなくてかまいません。

京大は部分点が与えられにくくばっさり点を引かれることが多い大学です。たとえば数学的帰納法で n=1 の場合を確かめただけで部分点がもらえるのは定期テストの話で、京大ではそうした部分点はおそらくないという趣旨のことを京大の教授が話していたこともあります。できない問題にはあまり手をつけないという戦略が大事です。

筆者は次のように解いていました。

  1. 最初の15分ほどで1問3〜4分ずつ全問に目を通す。解答用紙には書かずに問題の様子だけを確かめる
  2. 完答できると判断した問題に1問30〜40分かけて解く
  3. 3〜4問を解いて確実に100点、うまくいけば120〜130点を狙う

対策ルート

1. 網羅系で基礎を固める

まずは網羅系参考書や基礎問題精講などの基本的な参考書を周回して基礎を固めます。おすすめは青チャートです。黄チャートでもまったく問題ありません。変わり種として入試数学「実力強化」問題集もありです。

青チャート(チャート式 基礎からの数学)の表紙 入試数学「実力強化」問題集の表紙

2. 発展的な問題に触れる

次にハイレベル数学の完全攻略・京大数学プレミアム・真・解法への道・世界一わかりやすい京大の理系数学などで発展的な問題に触れます。どれを選ぶかは次のとおりです。

  • 数学が少し苦手な人:世界一わかりやすい京大の理系数学
  • 時間がない・早く終わらせたい人:ハイレベル数学の完全攻略
  • 時間があって数学が得意で極めたい人:真・解法への道
改訂第2版 世界一わかりやすい 京大の理系数学 合格講座の表紙 ハイレベル数学I・A・II・B・C[ベクトル]の完全攻略 改訂版の表紙 真・解法への道!の表紙 京大数学プレミアム 改訂版の表紙

それぞれの本は世界一わかりやすい京大シリーズの記事・米村明芳・杉山義明の参考書の記事・真・解法への道の記事で詳しく解説しています。

3. 論理の本は必須

京大では論証が求められるので、上のルートとは別に論理の勉強が欠かせません。『数学の真髄 -論理・写像-』か『方程式・図形・関数からとらえる数学の基礎 分野別標準問題精講』のどちらかをやるのは必須だと思います。できれば高2のうちにやれるととても良いです。

数学の真髄 -論理・写像-(青木純二)の表紙 方程式・図形・関数からとらえる数学の基礎 分野別標準問題精講の表紙

4. 分野別の対策

分野ごとに対策するなら整数・微積分・図形の3つです。整数が苦手なら『数学 整数 分野別 標準問題精講』(大山壇)などで整数をしっかりやりましょう。整数の考え方は整数問題の解き方の記事で解説しています。図形では入試数学の掌握の緑(各論実戦編)が有名です。少し難しいので本当に極めたい人だけでかまいませんが、図形問題だけをまとめた参考書は貴重なので京大志望は手に取ってみてもよいと思います。

数学 整数 分野別 標準問題精講の表紙 入試数学の掌握 各論実戦編の表紙

現役合格のための学年ごとの計画

  • 高1:範囲の学習を終わらせる
  • 高2:数学の真髄などで論理を身につける
  • 高3:世界一わかりやすい京大の理系数学などで京大の問題に慣れる

このくらいの計画で進められると現役合格が見えてきます。

過去問は青本か鉄緑会の問題集で5〜10年分

ここまで終わったら過去問に入ってかまいません。過去問は駿台の青本か『鉄緑会京大数学問題集』のどちらかがおすすめです。

京都大学理系 前期日程 2027年版(駿台の青本)の表紙 2026‐27年度用 鉄緑会京大数学問題集 2016-2025の表紙

鉄緑会の問題集は10年分の問題に解説と別解が付いていて、自己採点や問題の講評などの情報が詳しく載っています。青本は米村明芳先生や杉山義明先生といった優秀な講師が解像度高く書いています。どちらも甲乙つけがたいのですが、鉄緑会のほうが値段が高いので青本がおすすめです。

過去問でがっつり勉強しようと考えなくてもかまいません。大事なのは時間を計って解くセット演習で、その意味で5〜10年分くらいは解いておくとよいでしょう。

共通テスト後は駿台の予想問題集でセット演習

共通テストが終わったら予想問題集を解くのがおすすめです。特に駿台の『実戦模試演習 京都大学への数学』は米村先生や杉山先生が中心になって作っていて質が高いです。予想問題集の使い方は予想問題集の使い方の記事で解説しています。

2027 実戦模試演習 京都大学への数学(駿台文庫)の表紙

数学は直前で一気に伸びる

数学は直前にぐっと点数が伸びることがある科目です。筆者自身も友人も、共通テストが終わったあとに過去問や予想問題集を時間を計って解いていたら急に解けるようになったという経験をしています。

秋の模試で全然解けなかった人もめげずに共通テスト後のセット演習をしっかりやってください。そこから大きく伸びることは珍しくありません。

まとめ

  • 理系は150分・6題・200点。難易度は年ごとのブレが大きいが傾向は固定的
  • 微積分が少なく、図形(すっぴん図形)・整数・軌跡と領域・小問集合がよく出る
  • 小問と誘導が少ないので、発想力と論証力を鍛える
  • 目標は3問完答の100点。最初の15分で全問を見て、完答できる問題に時間をかける
  • 網羅系→完全攻略・真・解法への道・黄色本→過去問(青本)→共通テスト後に駿台の予想問題集。論理の本は必須

この記事で紹介した参考書

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