京大の英語は英文和訳と和文英訳を中心にした記述式の試験で、最近は自由英作文も毎年出ています。この記事では京大英語の傾向・解く順番・和訳と英作文の対策・おすすめの参考書と過去問の使い方を、2026年度入試で英語150点中101点を取って合格した京大生が解説します。100点を超えればほとんどの学部で合格点の範囲に入るので、目安は100点です。
京大英語の形式(2026年度)
| 大問 | 形式 | 分量 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 長文読解:英文和訳2題・内容説明1題 | 約730語 |
| Ⅱ | 長文読解:英文和訳2題・内容説明1題 | 約580語 |
| Ⅲ | 和文英訳 | − |
| Ⅳ | 自由英作文 | 80〜100語 |
試験時間は120分の記述式で、配点は学部によって少しずつ違います。農学部などは数学とほぼ同じ比重です。分量と構成は河合塾・Z会の分析によります。
京大英語の特徴
伝統は和訳と英訳の一本打法
京大英語は長らく、長文と呼ぶには短い難解な文章が2つあり長めの下線部を日本語に訳す英文和訳と、難解な日本語を英語に訳す和文英訳だけで勝負する形でした。芸がないけれどだからこそ英語力の本質がわかる、というブランディングです。
京大が求めるのはアカデミックな英語力
日本の英語教育が批判されてきたこともあって、東大をはじめ速読や情報処理を問う実用英語が入試のトレンドになっています。その中で京大は、アカデミックな場で英語を使う力(アカデミック・リーディングやライティング、リスニング)を育てたいと明言しています。ネイティブに近づくというより、日本人が学術の場で英語のテキストを読み書きするスキルに力点が置かれていると感じます。
最近は少しずつ普通の問題に近づいている
とはいえ実用英語の波に抗いきれていない面もあります。和文英訳は何十年も途切れずに続いていますが、それに加えて自由英作文が出るようになりました。長文の分量も増え、和訳だけだった設問が和訳2問と説明問題1問、和訳1問と説明問題2問のような形になったり、前置詞の空欄補充が出たりしています。
それでも難解でアカデミックな文章が出ることは変わりません。昔より構文の複雑さは下がっていますが、その文章に対応できる力が必要です。
時間配分と解く順番:英作文から先に
時間がたっぷりあるわけではありませんが、ちゃんと解いていけば解き終わらないことはない分量です。量が多くて全部解くのがとても難しい東大や、量が増えている共通テストと比べると、京大は時間にかなり余裕があります。その分問題が難しいというイメージです。
ただ和訳は時間をかけようと思えば無限にかけられるので、だらだらしていると時間が足りなくなります。おすすめは大問Ⅲの和文英訳と大問Ⅳの自由英作文を先に解き、そのあと大問Ⅰ・Ⅱの和訳に移る順番です。ここ数年はこの4題構成が定着しているので今年も同じになる可能性が高いと思います。
英文和訳の対策
難しい構文より言葉選び
近年は難しい文法事項はあまり出ず、文脈に応じて自然な言葉に言い換える力が問われています。基本的な英文解釈に加えて、語彙の適切な訳語を選ぶ力が重要です。
無生物主語の訳し方は気にしておく
京大は無生物主語構文などの訳し方を気にしています。京大が公表している2025年度の出題意図でも「無生物主語を用いた構文の適切な訳出」ができているかを問うと書かれています。
現代の日本語では無生物主語も普通に使いますが、かつては日本語として不自然だから言い換えろと教えられていました。京大はまだその考え方に寄っている感じがあります。個人的にはあまり良いと思いませんが、文法的にきちんとした和訳の仕方はまず身につけておきましょう。
直訳か意訳か:構造を保ったまま意図を伝える
たとえば Ten minutes' walk brought him to the station. を「10分の歩行が彼を駅へ連れて行った」と訳すと、構造は保っていますが日本語として不自然です。「10分歩くと駅に着いた」と訳すと自然ですが構造が変わっています。
直訳も意訳もどちらも不完全な訳です。正しいのは原文の構造を保存したまま、意図がきちんと伝わる形で訳すことです。単語帳どおりではない訳語を選ぶのはまったく問題ありませんが、構造そのものを変える意訳は典型的なもの以外では避けましょう。
内容説明は実質和訳
内容説明も実質は和訳です。筆者の年の問題は下線のある段落をほぼ全訳すれば点が入りそうな内容で、解答欄も広くとってありました。段落の全訳を工夫せずに書くだけでも点は入るはずなので、内容説明をそれほど意識する必要はありません。
単語帳:LEAPを完璧にするのが第一条件
英文和訳には語彙力が絶対に必要です。おすすめはLEAPで、+αまで含めて全部完璧にすれば京大でそれほど困ることはありません。システム英単語やターゲットも悪くはありませんが、LEAPのほうが到達度が高く実践的です。
京大は他の国公立と比べて単語帳が2冊目まで必要と言われることが多く、それも的を射てはいます。ただコストに対するベネフィットを考えるとそれほどコスパは高くありません。やるなら速読英単語上級編やリンガメタリカです。
鉄壁はおすすめしません。分量のわりに語彙数はそれほど多くなく、訳語にも工夫がなく、例文もあったりなかったりです。東大志望なら使う価値はあるかもしれませんが京大にはまったく向きません。LEAPについてはLEAPの記事で詳しく解説しています。
熟語帳は基本的には不要。ただしIDIOMATIC 300は検討の価値あり
熟語帳は基本的にはやる必要はありません。ただ今の入試は京大に限らず語彙力勝負のところがあるので、コロケーションを身につけたいときや英作文で自然な英語を書きたいときにはIDIOMATIC 300をおすすめできます。あまりにも良書なので検討する価値はありますが、時間がとてもかかることは考えておいてください。詳しくはIDIOMATIC 300の記事で解説しています。
英文解釈の参考書:京大の得点源
和訳を解くなら英文解釈の参考書は当然やるべきです。京大ではここが得点源になります。自分に合う1冊は英文解釈の参考書診断でも確認できます。
おすすめルート1:竹岡ルート
入門英文問題精講→英文熟考 上・下の順です。これで一通り英文解釈の力は固まります。竹岡広信先生は実用的な英語表現にとても敏感で、英語の知識量がすごい先生です。自然な英文が使われていて問題の研究量も多いので、問題の選定も解説の質もすばらしいです。解説もシャープでシンプルです。
おすすめルート2:久保田ルート
基礎からの英文解釈クラシック→英文解釈クラシックの順です。著者の久保田智大先生は関東の駿台で人気の若手講師で、主に東大に詳しい先生ですが京大対策にも精通しています。
英文解釈クラシックは伊藤和夫先生の歴史的名著『英文解釈教室』を現代風にリメイクしたような本です。かなり硬派ですが、情報構造や長文の読み方など内容説明にも踏み込んだ書き方で、実践的な和訳の力が身につきます。京大の雰囲気に合っている本です。
3冊目:Realize 英文「解釈」演習99
IDIOMATIC 300の山崎竜成先生による本で、かなりレベルが高く京大に必須とまでは言えません。英文熟考の下や英文解釈クラシックのあとに余裕があれば手を出してほしい本です。
よく出る英語表現をまるごと覚えてしまうという思想に加えて、構文解説で終わらないのが良いところです。構文を取っても意味がよくわからない文は多く、それでは読解はできません。京大はただ構文を取れば解けるという作りにはなっていないので、構文の先の読解力を学べるこの本は役に立ちます。
ほかの英文解釈の参考書の評価
| 書名 | 評価 |
|---|---|
| 難関大に合格する英文解釈Code70(杉村年彦) | おすすめ。分量は短いがレベルが高く、ステップバイステップで解ける構成がすばらしい |
| ポレポレ英文読解プロセス50 | 1997年刊でかなり古く、強くはおすすめしない |
| 英文読解の透視図 | 1993年刊。いい本だが、みんなが言うほど選ぶ必要があるかは疑問。例文も古いまま |
| 関正生の英文解釈ポラリス | いい本だが解説の厳密さに疑問があり、京大向きかは微妙 |
| 英文解釈の技術100・入門英文解釈の技術70 | 意訳が多く時代遅れになりつつある |
| 英文解釈教室(伊藤和夫) | 構文的にとても難しい名著だが古すぎる。英文解釈クラシックで十分 |
| 英文解体新書 | マニア向けでレベルが高く、Realizeに近い。英文解釈教室をやるくらいならこちら |
和文英訳の対策:頭から正直に訳す
和文英訳でよく言われるのは「和文和訳」をしろという方法です。与えられた日本語を、自分が英語で表現できる別の日本語に書き換えてから英訳するというやり方です。
筆者はそれほどおすすめしません。与えられた日本語を頭から正直に訳していくのがいちばん大事です。みんなが思うほど難しい作業ではなく、英作文の参考書を1冊ちゃんとやれば奇をてらった問題はほとんど出ません。
たまに「損得勘定」「転ばぬ先の杖」「便宜を図る」のような日本語らしい表現が出ます。「損得勘定で人と付き合う」なら「その人が自分にとって利益があるかどうかで付き合うかを決める」と言い換えれば depend on で表せます。「便宜を図る」も「周りに気を遣って行動する」のように言い換えられます。文単位で書き換えるのではなく、わからない語句だけ意味に遡って言い換えればよいのです。
自由英作文の対策
自由英作文は今年もほぼ確実に出ると思われます。よくあるテーマについて自分なりの意見を持ち、自分なりに書けるようにしておくしか対策はありません。和文英訳をやれば自由英作文もできるというのは幻想で、自由英作文には自由英作文の対策が必要です。
英作文の参考書
いちばんのおすすめは基礎英作文問題精講
英作文の参考書でいちばんメジャーなのは竹岡先生の『英作文が面白いほど書ける本』です。和文英訳がメインですがとにかく分量が多いので、覚えきれる人向けです。
筆者がおすすめするのは同じ竹岡先生の『基礎英作文問題精講』です。前半の和文英訳は例題100題なので2〜3か月やれば覚えられます。後半には自由英作文のパートがあり、テーマごとに竹岡先生の解答と使える表現がたくさん載っています。自由英作文の対策も必要なことを考えると和文英訳だけに時間は使えないので、和文英訳の例文を自由英作文でも使える形で覚えられるこの本がいちばん良いと思います。
文法的に正しい英語を書くために
書くには表現だけでなく文法も知っておく必要があります。文法の誤りは減点される程度とも言えますが、やはり文法的に正しい英語を書くことは大切です。おすすめは代ゼミの小倉弘先生の『例解和文英訳教本 文法矯正編』です。
まとめると英作文は「例解和文英訳教本+基礎英作文問題精講」か「基礎英作文問題精講1冊」のどちらかで進めるのがよいと思います。
過去問の使い方
青本で遡れるだけ遡る
過去問は駿台の青本(京大入試詳解)を中心に、遡れるだけ遡りましょう。筆者は10年分ほど解きましたが、20年分くらい解いてもよいと思います。
時間を計らず満点の答案を作る練習を
過去問で時間を計るかどうかは時間が厳しいかどうかで決めるべきです。京大英語は時間がそれほど厳しくないので、時間を気にせず心ゆくまで「これで満点だろう」という答案を作る練習をするのがおすすめです。
大問ごとに分けて演習するのもあり
今日は和訳だけやりたいなら3年分の和訳だけ、英訳だけなら3年分の英訳だけ、自由英作文だけなら3年分の自由英作文だけというように、大問ごとにピックアップして演習するのもよい方法です。
英作文はノートを作ってAIに添削させる
英作文はノートを作ることを強くおすすめします。ノートには問題・自分の答案・AIによる添削・使えそうな表現をまとめます。20年分ほどやればかなり充実したノートになり、それを繰り返し見ることで英作文がだんだん書けるようになった経験が筆者にはあります。
AI(ChatGPTやClaudeなど)に添削させるときは、たとえば次のように指示すると的を射た添削が返ってきます。
「文法や内容で間違っているところがあれば教えてください。そのうえで英検2級レベル(LEAPに載っているレベル)の単語で、自分にも書けそうな正しい書き直しをしてください。」
答案を写真で読み込ませたり「こういう表現もできるか」と聞いたりして、思うままに使い倒しましょう。
添削は人間ではなくAIに
和文英訳も自由英作文も添削はAIにさせるのがおすすめです。ネイティブに添削してもらえる環境があるなら話は別ですが、学校の英語の先生がAIより英語ができるかというと微妙です。人間相手だと気を遣うので気軽に質問できず、返ってくるのも遅くなります。
AIはハルシネーションを起こすから使うべきではないという意見もありますが、最近のAIはそこまで質が低くありませんし、自分にわからない細かい違いは指摘されても習得できません。本番の採点はネイティブがしていると思うので不自然な英語は減点されるでしょうが、ネイティブでも帰国子女でもない受験生が英作文で満点を取るのは無理です。7割を目指すのであればAIで何の問題もありません。
共通テスト後の過ごし方
英語は暗記科目なので、初見の問題をやりすぎてもあまり意味がありません。共通テスト後はこれまで解いた過去問の復習、特に英作文のノートの見直しを何度も繰り返しましょう。そのうえで時間配分が気になるなら駿台の『実戦模試演習 京都大学への英語』などの予想問題集を解くとよいと思います。
京大志望は共通テストの英語を甘く見ない
京大に特化した対策をしていると、共通テストの英語が7〜8割で止まってしまうのはよくある話です。京大対策では速読の練習をしないので、頭からだらだら解くと時間内に終わりません。
京大は時間に余裕があるので英語力の不足を思考力で補えてしまいます。英語力があるつもりでも、単語力や瞬発的に処理する力が足りず共通テストが解けないことがあるのです。東大は二次が共通テストの上位互換のようなところがあるので共通テスト対策をそれほどしなくてよい場合もありますが、京大志望は共通テストの過去問や予想問題集をしっかり解いて形式に自分を合わせてください。
リスニングも京大の二次にはないので無駄に感じるかもしれませんが、共通テストは一発勝負なのでちゃんと対策しましょう。1回分は30分ほどで終わります。序盤のやさしい問題は飛ばして大問5など難しいところから始めればもっと短くできます。共通テストの英語は共通テスト英語の記事で詳しく解説しています。
学年ごとの計画:単語は高2のうちに
受験学年になるとなかなか英語に時間を割けなくなります。少なくとも単語だけでも高2のうちに固めておくことが重要です。
まとめ
- 京大英語は長文2題(和訳と内容説明)・和文英訳・自由英作文の4題。目安は150点中100点
- 時間には余裕があるが和訳は時間をかけすぎやすい。英作文から先に解く
- 和訳は構造を保ったまま意図を伝える。無生物主語の訳し方も意識する
- 単語はLEAPを完璧に。英文解釈は竹岡ルート(入門英文問題精講→英文熟考)か久保田ルート(英文解釈クラシック)
- 英作文は基礎英作文問題精講。和文英訳は頭から正直に訳し、わからない語句だけ言い換える
- 過去問は青本で遡れるだけ。英作文はノートを作ってAIに添削させる
- 共通テストの英語とリスニングも甘く見ずに対策する
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