「入試数学の掌握」は、近藤至徳先生による3部作の数学参考書です。東大理三・京大医学部・阪大医学部の合格レベルを想定していて、受験参考書の中でも最高峰クラスとして知られています。ただ実際には、言われているほど敷居の高い本ではありません。この記事では赤・青・緑の3冊の違い、どの志望校ならどれをやるべきか、使うときの注意点を解説します。

この本の基本情報
出版社エール出版社
著者近藤至徳
構成総論編・各論錬磨編・各論実戦編の3冊
総論編2011年・A5判215ページ
レベル最難関大(理三・京医・阪医レベル)
入試数学の掌握 総論編の表紙

どんな本か

典型問題をある程度解けるようになった人に向けて、難問を解き崩す力を養い、入試数学の総合力を高めることを目指した指南書です。単元ごとの解法を並べるのではなく、難しい問題にどう立ち向かうかという考え方そのものを体系的に扱っています。

赤・青・緑の3冊の違い

3冊は表紙の色で呼ばれることが多く、扱う中心テーマがはっきり分かれています。

表紙巻中心テーマやる価値がある人
赤テーマ別演習① 総論編論理難関大志望なら
青テーマ別演習② 各論錬磨編通過領域東大・京大などの志望者
緑テーマ別演習③ 各論実戦編図形問題東大・京大(特に図形が頻出の京大)なら、やってもいい程度
  • 赤(総論編):同値変形や条件の扱いなど、入試数学の土台になる論理を扱います。難関大志望ならやる価値があります。
  • 青(各論錬磨編):通過領域を中心に、存在条件や論証など差がつきやすい分野の難問を扱います。東大・京大などを目指すならやる価値があります。
  • 緑(各論実戦編):図形問題が中心です。東大・京大、特に図形問題が頻出の京大志望ならやってもいい、という位置づけです。なお行列式など高校数学の範囲外の内容も出てくるので注意してください。

レベル:言われているほど敷居は高くない

ハイレベルな本だと言われがちですが、著者の実感としては案外敷居は高くありません。網羅系参考書や『ハイレベル数学の完全攻略』などで難しめの典型問題まで押さえた人なら、十分に読み進められます。

この本が本当に役立つのは、そこまでやったのに自分の数学力に天井を感じたときです。典型問題をいくら覚えても解けない問題に対して、どう考えればいいかという思考回路が載っています。数学力の限界を破るための本だと考えてください。難易度の位置づけは難しすぎる参考書3選でも取り上げています。

欠点:解き方が独特

解き方が独特なことが多いのは欠点です。本に載っている解法をそのまま真似するより、その解法の裏にある「どこに着目して、なぜそう考えるのか」という思考回路を自分の解き方に取り入れる意識で読みましょう。

3冊を読む順番

基本は赤(総論編)→青(各論錬磨編)→緑(各論実戦編)の順です。論理を扱う赤が、残りの2冊の前提になっているからです。志望校に合わせて、どこまでやるかを決めましょう。

  • 難関大志望:赤まで
  • 東大・京大などの志望:赤と青
  • 図形問題が頻出の京大など:余裕があれば緑も

いつから始めるか

目安は網羅系参考書と、難しめの典型問題を押さえる問題集(『ハイレベル数学の完全攻略』など)を終えてからです。典型問題が固まっていない段階で読んでも、書いてあることの価値が分かりにくく時間を失うだけになります。

挫折しない使い方

  1. 一度に長時間読まず、1日1テーマなど少しずつ進める
  2. 例題はまず自力で考え、手が止まった地点をメモしてから解説を読む
  3. 解説に出てくる考え方を、自分の言葉で短くまとめ直す
  4. 過去問を解くときに、まとめた考え方を意識して使う

この本は読み終えることより、考え方を過去問で使えるようになることが大切です。すべてを理解しようとして止まってしまうより、分かった部分から過去問で試していく方が力になります。

向いている人・向いていない人

向いている人
  • 難しめの典型問題まで押さえたのに、自分の数学力に天井を感じている人
  • 東大・京大・医学部など、難問で差がつく大学を目指す人
向いていない人

網羅系参考書や典型問題が固まっていない人には早すぎます。また解き方が独特なので、解法を丸ごと真似しようとすると混乱しやすい点に注意してください。

前に使う本

よくある質問

3冊すべて必要ですか?

必須ではありません。難関大志望なら赤(総論編)、東大・京大などなら赤と青で十分です。緑は図形問題が頻出の大学を受ける人が、余裕があれば取り組む程度で構いません。

文系でも読めますか?

理系の最難関志望者を主な対象にしていますが、総論編の考え方は文系の難関大の記述問題にも通じます。

この記事で紹介した参考書

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