網羅系参考書を終えたあとの演習書として、よく並べて語られるのが「1対1対応の演習」と「新数学スタンダード演習」(新スタ)です。どちらも『大学への数学』の東京出版から出ている本ですが、レベルも作りも勧められる人もかなり違います。

先に結論を言うと、多くの人に勧められるのは1対1対応の演習です。新スタは難関大レベルまで引き上げる力を持った本ですが、ほかの本でも同じ力はつくので、筆者が勧められる人は限られます。

この記事でわかること
  • 2冊のレベル・問題数・解説・レイアウトの違い
  • それぞれの良いところと弱いところ
  • 今の自分がどちらをやるべきか(どちらも不要な場合も含めて)
  • 1対1のあとに進む本と、新スタを選ぶべき人

2冊の基本情報

1対1対応の演習/数学I[三訂版]の表紙新数学スタンダード演習の表紙

左が1対1対応の演習(数学I)、右が新数学スタンダード演習です。

1対1対応の演習新数学スタンダード演習
出版社東京出版東京出版(『大学への数学』増刊)
形数学I・A・II・B・C・IIIの6冊(三訂版)毎年3月末ごろに出る増刊号。数IIIは別に「数学III・Cスタンダード演習」がある
レベル青チャートより少し上1対1より明確に上。難関大レベル
問題数本当に重要な問題に絞られている多い。難関大の典型を網羅している
解説しっかりしているが、やや難しめシンプル
レイアウトシンプルで洗練されている見づらい
おすすめ度多くの人に勧められる勧められる人は限られる

レベルの位置づけ

同じ東京出版の本でも、2冊のレベルははっきり違います。網羅系の代表である青チャートと並べると次のようになります。

網羅系青チャート
↓ 少しだけ上
網羅系の次(代わりにも)1対1対応の演習
↓ 明確に上
難関大レベル新数学スタンダード演習

1対1は網羅系の延長線上にある本で、新スタは難関大の入試に向けた本です。2冊は同じ段階で比べる本ではなく、そもそも狙っているレベルが違います。

1対1対応の演習:多くの人に勧められる1冊

1対1対応の演習/数学I[三訂版]の表紙1対1対応の演習/数学A[三訂版]の表紙1対1対応の演習/数学II[三訂版]の表紙1対1対応の演習/数学B[三訂版]の表紙1対1対応の演習/数学C[三訂版]の表紙1対1対応の演習/数学III[三訂版]の表紙

各テーマの例題と演習題が1題ずつ対になった問題集で、三訂版は数学I・A・II・B・C・IIIの6冊に分かれています。

良いところ
  • 問題数が絞られている:本当に重要な問題だけがピックアップされていて、遠回りせずに入試の核になる考え方を押さえられる
  • 解説がしっかりしている:なぜその方針を選ぶのかまで書かれていて、覚えた解法を入試問題でどう使うかがつながる
  • 網羅系の代わりにもなる:青チャートなどの網羅系をやっていなくても、ぎりぎり手が出せるレベル。網羅系の代替品として使う人もいる
弱いところ
  • レイアウトが万人受けしない:シンプルで洗練されたレイアウトで筆者は好きだが、色や図で整理された参考書に慣れた人には読みにくく感じられる
  • 解説がやや難しめ:しっかりしている反面、行間を自分で埋める力が要る。どちらかといえば上級者向け
  • 難関大には問題数が足りない:重要な問題に絞っているぶん、難関大の入試で必要な典型をすべて押さえるには量が少ない

使い方や何周やるかは1対1対応の演習の使い方とレベルで詳しく書いています。

新数学スタンダード演習:力はつくが勧められる人は少ない

新数学スタンダード演習の表紙

『大学への数学』の増刊として毎年3月末ごろに出る演習書です。数IIIの範囲は「数学III・Cスタンダード演習」として別に出ています。

良いところ
  • 難関大の典型を必要十分に網羅している:難関大レベルの典型問題や、常識として押さえておくべき事項が必要十分な量で入っている。1対1では足りない分をカバーできる
  • これ1冊で難関大レベルまで引き上げられる:しっかりやり切れば、新スタだけで難関大の入試に通用するレベルまで届く
弱いところ
  • レイアウトが見づらい:問題と解説の配置が詰まっていて、復習のときに探しにくい
  • 解説がシンプル:考え方の説明が短く、解けなかった問題で何が足りなかったのかを自分で読み解く必要がある
  • 問題数が多い:網羅できているぶん分量が多く、やり切るのに時間がかかる

新スタで難関大レベルまで引き上げることはできます。ただ真・解法への道やハイレベル数学の完全攻略などでも同じ力はつくので、わざわざ新スタを選ぶアドバンテージは正直そこまでありません。レイアウトの見づらさと解説の簡潔さを考えると、筆者が勧められる人は少ないというのが本音です。

どっちをやるべきか

今の状態と志望校ごとに整理すると次のようになります。

今の状態・志望校おすすめ
網羅系を終えた。旧帝大・難関私大を目指す1対1対応の演習
網羅系を使わずに進めたい上級者1対1対応の演習を網羅系の代わりに使う
1対1を終えた。さらに難関大レベルの典型を固めたい真・解法への道かハイレベル数学の完全攻略。新スタはレイアウトと簡潔な解説が気にならない人なら選択肢
中堅国公立・MARCH・関関同立が目標1対1までで十分。新スタは不要
共通テストだけで数学を使うどちらも不要。共通テスト対策の問題集を優先

おすすめの進め方

網羅系青チャートなど(1対1を網羅系の代わりにしてもよい)
↓
網羅系の次1対1対応の演習
↓ 難関大を目指すなら
難関大レベルの典型真・解法への道/ハイレベル数学の完全攻略
↓
仕上げ志望校の過去問

新スタを使う場合は、真・解法への道やハイレベル数学の完全攻略の代わりに入れます。これらと新スタを並行する必要はありません。同じ難関大レベルの典型を扱う本なので、1冊を仕上げてから過去問に移るほうが効率的です。

真・解法への道!の表紙ハイレベル数学I・A・II・B・C[ベクトル]の完全攻略 改訂版の表紙ハイレベル数学III・C[平面上の曲線と複素数平面]の完全攻略 改訂版の表紙

1対1のあとに筆者が勧めるのはこの2シリーズです。真・解法への道は真・解法への道の紹介記事で、ハイレベル数学の完全攻略はまるで予備校の授業な数学の参考書3選で紹介しています。

受験数学の3段階との関係

この2冊は、受験数学を「暗記→理解→暗記」の3段階で考えると位置がはっきりします。

  • 1対1対応の演習:第1段階(基本的な定義と典型問題の解き方を覚える)の仕上げ、または網羅系の代わり
  • 新数学スタンダード演習:第3段階(入試レベルの典型問題を身につける)の本の1つ

その間には、覚えた解法の理由を論理で確かめる第2段階があります。1対1から新スタや真・解法への道へ直接進むと、入試レベルの型を丸暗記で大量に覚えることになりがちです。3段階の考え方は解法暗記か理解か、受験数学の正解は「暗記→理解→暗記」で詳しく書いています。

よくある質問

網羅系をやらずに1対1から始めても大丈夫ですか

ぎりぎり手が出せるレベルなので、網羅系の代わりに使う人もいます。ただ解説がやや難しめなので、教科書の例題が自力で解けることが前提です。不安がある人は網羅系か、東京出版の『プレ1対1対応の演習』から始めてください。

1対1を終えたら新スタに進むべきですか

進んでも力はつきますが、必須ではありません。真・解法への道やハイレベル数学の完全攻略でも同じレベルの力がつくので、レイアウトや解説の好みで選んで構いません。中堅大が目標なら、1対1のあとは過去問に移って十分です。

新スタはどの年度を買えばいいですか

毎年3月末ごろに新しい号が出る増刊なので、基本は最新の号を選びます。古い号でも難関大の典型を学ぶ本としての価値は大きく変わりませんが、新課程の範囲に合っているかは確かめてください。

まとめ

1対1対応の演習と新数学スタンダード演習は同じ東京出版の本ですが、狙っているレベルが違います。1対1は青チャートより少し上の本で、問題数が絞られ解説もしっかりしているので、多くの人に勧められます。新スタは難関大の典型を必要十分に網羅した本で、やり切れば難関大レベルまで届きますが、レイアウトと解説の簡潔さを考えると勧められる人は限られます。

網羅系を終えた人・網羅系の代わりを探している人

1対1対応の演習に進んでください。多くの人にとってこれが網羅系の次の1冊です。

1対1を終えて難関大を目指す人

真・解法への道かハイレベル数学の完全攻略で難関大レベルの典型を固めてください。新スタはその代わりの選択肢です。

中堅大・共通テストが目標の人

新スタは不要です。1対1まで、または共通テスト対策の問題集で十分です。

迷ったら1対1。新スタは「レイアウトと簡潔な解説が気にならない難関大志望」のための本です。

この記事で紹介した参考書

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