東進の数学講座は数が多く、どれを取るべきか迷う人は少なくありません。その中で上位層の定番として名前が挙がるのが「数学の真髄」「入試数学の戦術」「数学ぐんぐん」の3つです。この3講座はレベル帯に大きな差がないため、どれを選ぶかは講師の教え方の違いで決まります。

東進wikiでは3人の講師の違いを、理解重視の青木純二先生・解法選択重視の吉原修一郎先生・演習重視の長岡恭史先生と整理しています。この記事でもこの軸に沿って、それぞれの講座と講師の特徴を紹介します。

3講座の基本情報

講座担当講師授業数予習対象
数学の真髄-基本原理追究編-文理共通 PART1/PART2青木純二先生90分×40回必須高2・高3・高卒生(最難関志望)
入試数学の戦術(文理共通)吉原修一郎先生90分×20回不要高3・高卒生(文理共通範囲を学習済み)
数学ぐんぐん[基本編][応用編]長岡恭史先生各90分×20回必須高2・高3・高卒生

収録年度は真髄が2023年度、戦術が2024年度、ぐんぐんが2013年度です。ぐんぐんは収録から年数が経っていますが、扱っているのは入試数学の根幹にあたる内容で、今も上位層の定番であり続けています。

数学の真髄:公式を自分で作れるようになりたい人へ

数学の真髄 -論理・写像-(青木純二)の表紙

「数学の真髄-基本原理追究編-」は、公式や解法の暗記では難関大は攻略できないという考えのもと、数学的事実を正確に理解して論理的に使う力を養う講座です。数列・確率・論理・写像・多項式・ベクトル・合同式などを原理から扱い、差分や一次独立・斜交座標・外積のように教科書には出てこない概念にも踏み込みます。

中でも重視されているのが論理で、講師自身がこの講座を通じて論理を教えたいと語っています。三角関数の公式も講座を進めるうちに自分で作れるようになると説明されていて、公式を覚えるのではなく導ける状態を目指す講座だと言えます。

担当の青木純二先生は北海道大学理学部数学科を卒業後、公立高校の教員を経てSEGの専任講師となり、横浜で塾を設立して代表を務めたのち2018年度から東進で教えています。授業では「通過領域は蛇の撮影会」「ベクトルはゴルフの足し算」のような独特の例え話で、抽象的な概念をイメージに落とし込みます。「1個の概念をちゃんと理解して100題解けるようになりましょう」という言葉に講座の姿勢がよく表れています。

向いている人
  • 公式を機械的に当てはめて問題を解いてきた人
  • 軌跡や同値変形・等号条件の確認を形式的に処理してきた人
注意点

初学者向けの講座ではなく、教科書の内容を一通り理解していることが前提です。予習は必須で、答えが出なくても自分で考えてから授業に臨むことが求められます。修了後は「数学の真髄-東大実践演習編-」へ進み、身につけた原理を入試問題に応用する流れが想定されています。理系向けには「数学の真髄-基本原理追究編-理系」も用意されています。

入試数学の戦術:定石と解法選択を体系的に固めたい人へ

「入試数学の戦術」は、入試数学の定石となるアイデアを身につけて志望校の問題を自力で解ける実戦力を養う講座です。最大の特徴は授業の進め方で、生徒は予習をせずに授業に臨み、講師の指示に従って動画を止めながら授業中に問題を解いていきます。

扱う問題は教科書傍用問題集レベルの自習問題・入試の典型問題である演習問題・東大や京大レベルのチャレンジ問題の3種類です。特に評価が高いのはPart2の図形問題の解法選択の回と、それに続く論証力養成の回です。理系向けには「入試数学の戦術(理系)」も開講されています。

吉原修一郎先生は慶應義塾大学理工学部を卒業し、駿台予備学校や東大進学塾エミールでも教え、SEGでの指導経験もある講師です。柔和な語り口と素早い板書で入試問題の定石を体系的に説明し、図形・整数・場合の数と確率に強みがあります。論理記号や受験用語をあえて多用しないので、論理を重視しながらも取っつきやすい授業です。生徒にかける「無理すな」「さぼるな」「はよ寝ろ」という言葉にも人柄が表れています。

向いている人
  • 部活や学校の課題で予習の時間を確保しにくい人
  • 王道の解き方を整理して解法選択の判断を速くしたい人
注意点

予習が不要な代わりに授業中は手を動かし続けるため、1講ごとに体力を使います。疲れている日にまとめて受講するより、集中できる時間に1講ずつ進める方が効果的です。

数学ぐんぐん:重い演習で実力をつけたい人へ

「数学ぐんぐん」は基本編から応用編へと進む2段構成の講座で、数学Ⅰ・A、Ⅱ・Bの基本を徹底的に理解することを目指します。テキストの冒頭には「基本」は「初歩」とは違い易しいものではないという考え方が示されていて、講座全体がこの立場で作られています。各問題にはREVと呼ばれる自習用問題が付いていて、授業と自習の両方で同じテーマを掘り下げます。

応用編では同値性や存在条件に着目した厳密な講義が行われ、Part1から「逆手流」と呼ばれる手法が数多く登場します。1講で大問5題を扱う密度の高さで、テキストは約5回解き直すのが望ましいとされています。理系には微積分を扱う「微積もぐんぐん」もあります。

長岡恭史先生は電気通信大学を卒業し、駿台予備学校の講師を経て1998年度から東進で教えています。東大特進コースも担当する講師で、別解や高度な《研究》まで板書する授業が特徴です。重要な定義を口頭でさらりと述べることもあるため、倍速ではなく等倍での視聴が勧められています。

向いている人
  • 時間をかけて1問ずつ深く詰めたい人
  • 東大・京大などで数学を得点源にしたい人
注意点

予習と復習にREVの演習まで含めると1講あたりの負担はかなり大きくなります。板書量も多いので、校舎で受講する場合は1講につき2時間分の座席を確保しておくと安心です。なお青チャートやFocus Goldなどの網羅系参考書がすらすら解けるなら、基本編を飛ばして応用編から受講しても授業についていけるとされています。

結局どれを選ぶか

3講座はレベルで選ぶものではありません。次の3点で自分に合う講座を判断してください。

  • 公式や解法の「意味」が気になって先に進めない → 数学の真髄
  • 予習の時間を取りにくく、定石を効率よく整理したい → 入試数学の戦術
  • 時間をかけてでも重い演習で鍛え上げたい → 数学ぐんぐん

なお真髄とぐんぐんのページでは、予習や補助の教材として長岡亮介『総合的研究』が繰り返し勧められています。現在は絶版で入手しにくくなっていますが、手に入るなら講座と並行して読む価値のある1冊です。

どの講座も受講するだけで力がつくものではありません。講師の考え方を自分の答案で再現できるようになるまで復習してはじめて、講座を取った意味が出てきます。書籍版の「数学の真髄」についてはシリーズ解説の記事で詳しく紹介しています。

さらに詳しく(東進wiki)

この記事で紹介した参考書

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