良書は必ずしも売れ続けるとは限りません。ここでは、熱心なファンを今も持ちながら、入手が難しくなってしまった伝説的な参考書を3つ紹介します。中古市場では今も高値で取引されているものもあり、著者の情熱とともに振り返ります。

1. 総合的研究(長岡亮介 著/旺文社)

長岡亮介先生は、数学教育に長年携わってきた研究者・教育者です。「総合的研究 数学I+A / II+B / III」は、全巻合わせて約3000ページにも及ぶ大著で、全ページカラー刷りという豪華な作りから「カラー版のチャート式」と呼ばれることもありますが、中身は網羅系参考書とは一線を画します。

本書のテーマは「本質からの理解」「じっくり考えて読む数学」。公式を丸暗記させるのではなく、その公式がなぜ成り立つのかという定義・成り立ちから全力で解説する姿勢が貫かれています。パターン学習でサクサク周回するタイプの参考書とは対極にある一冊です。

しかし残念ながら、この赤い表紙の「総合的研究」シリーズは現在絶版となっており、読者コミュニティでは再販を望む声が今も上がり続けています。中古市場でも人気が高く、入手にはやや苦労するかもしれません。なお、姉妹編にあたる「総合的研究 論理学で学ぶ数学」は現行で入手可能です。

2. 最高の演習160/90(松田聡平 著/東進ブックス)

最高の演習(松田聡平)の表紙

松田聡平先生は東進ハイスクール・東進衛星予備校・河合塾の数学講師で、東京大学工学部卒業、同大学院修士課程修了という経歴を持ちます。「最小限の労力で最大の効果を実現する」ことをコンセプトにした授業で、多くの東大合格者を輩出してきました。

「数学I・A/II・B 最高の演習160」「数学III 最高の演習90」は、東大・京大・早慶レベルの入試問題を厳選し、別解や発展事項まで充実させた一冊です。姉妹編の「典型問題Type100」で基礎を固めたあと、実戦力を高める演習書として位置づけられています。

現在、この2冊は多くの販売サイトで在庫切れの状態が続いており、入手が難しくなっています。中古での入手を検討する場合は、状態や価格をよく確認することをおすすめします。

3. 発見的教授法による数学シリーズ(秋山仁 著/森北出版)

秋山仁先生は、東京理科大学理数教育研究センター長、数学体験館館長、駿台予備学校顧問などを歴任してきた、グラフ理論・離散幾何学分野の研究者です。NHKのテレビやラジオを通じて、数学の魅力を分かりやすく伝える活動でも知られています。

「発見的教授法による数学シリーズ」は、単元別に学ぶ従来の「縦割り学習」ではなく、発想のパターンごとに学ぶ「横割り学習」を提唱した、当時としては非常に先進的なシリーズです。「証明のしかた」「技巧的な解きかた」「発想のしかた」「視覚的な解きかた」「立体のとらえかた」など全5巻+別巻で構成され、「どうすれば解けるのか」というプロセスを徹底的に掘り下げる内容になっています。

もともとは1990年に駿台文庫から受験生向けに出版されベストセラーとなり、その後、森北出版から一般向けに復刻されました。しかし復刻版も現在は品切れとなることが多く、再販を待つファンが後を絶たない、まさに幻の名著と呼ぶにふさわしいシリーズです。

絶版本との付き合い方

絶版・品薄の参考書は魅力的に見えますが、無理に入手にこだわる必要はありません。同じ著者の現行書籍や、似たコンセプトの本で代替できることも多くあります。まずは今の自分に必要なレベルと目的を把握した上で、入手できる本の中からベストな選択をすることをおすすめします。

この記事で紹介した参考書

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