限られた勉強時間を、得意科目を伸ばすのに使うか、苦手科目を埋めるのに使うか。受験生なら一度は迷う問題です。

結論から言えば、得意科目も伸ばすべきだし、苦手科目も埋めるべきです。本当に考えるべきなのは「得意か苦手か」ではありません。志望校の配点を見て、合計点を一番効率よく上げられる勉強は何かです。この記事では、その考え方を具体的な数字で解説します。

この記事でわかること
  • 「得意か苦手か」より大事な判断基準
  • 志望校の配点から一番コスパのいい勉強を見つける方法
  • 共通テストの点数が圧縮される大学での注意点
  • 「全員向けのアドバイス」をうのみにしてはいけない理由

大事なのは志望校の配点

入試は合計点で決まる相対評価です。どの科目で取った1点も、合計点の中では同じ1点として扱われます。ただし、同じ時間をかけたときに何点伸びるか、その点数が合計点にどれだけ反映されるかは、科目と志望校によってまったく違います。

だから考えるべきなのは、得意科目か苦手科目かではありません。志望校の配点を見て、今の自分にとって一番コスパのいい勉強は何なのかを考えることです。

例:東大で数学が苦手な人

分かりやすい例として、東大で考えてみます。東大の話はあくまで一例で、大事なのは同じ考え方を自分の志望校に当てはめることです。東大の入試は二次試験440点と共通テストを110点に換算したものの合計550点で合否が決まります。理系の二次試験は数学が120点です。

東大では数学が一番差がつきやすい科目です。多くの受験生がそれほど点数を取れない中で、数学で点を取れる人は大きく差をつけます。もし自分が数学を苦手としているなら、数学を20点伸ばすだけで合格確率はすごく上がります。差がつく科目で負けている状態から、平均以上に追いつけるからです。

共通テストの点数は圧縮されることがある

共通テストは二次試験に比べて点数を伸ばしやすい試験です。でも、伸ばした点数がそのまま合計点に入るとは限りません。

東大の場合、情報が加わって1000点満点になった共通テストが110点に換算されます。つまり点数はほとんど10分の1に圧縮されるわけです。

20点伸ばした試験合計点への影響
二次試験の数学そのまま 20点
共通テスト\(20\times\dfrac{110}{1000}=\) 2.2点

合計点は550点満点です。同じ20点でも、合計点への効き方には9倍以上の差があります。共通テストの20点アップは、二次試験の数学でいえば2点分ほどにしかならないのです。

こう考えると、本当に今、共通テストの勉強をすることが大事なのかは立ち止まって考えるべきです。高校や塾で「夏に共通テストの過去問を解きなさい」と言われることはよくあります。でも、その時期に共通テストの過去問をやるのが自分にとって本当に一番効率のいい勉強なのかは、志望校の配点を見て判断する必要があります。

ただし足切りには注意

圧縮されるからといって、共通テストを完全に後回しにしていいわけではありません。東大のように共通テストの点数で第1段階選抜(足切り)を行う大学もあります。足切りを確実に越えられるかどうか、共通テストの配点が大きい大学かどうかも含めて、いつ何をやるべきかを自分で考えましょう。

共通テスト前の今こそ流されない

共通テストが近づくこの時期は、学校でも塾でも「共通テストの対策をしろ」とたくさん言われると思います。でも、志望校で共通テストの配点が全然高くなく、足切りを越える可能性ももう高いという人もいるはずです。

そういう人は、無理して今から共通テストの勉強をする必要はありません。二次試験の勉強を続けて、年明けから共通テストの過去問を解くだけでいいというパターンもあります。みんなが共通テスト対策をしているからといって、大衆に流されないでください。

大学や学部によって、共通テストと二次試験の比率はまったく違います。共通テストの比率が高い大学なら、共通テストを伸ばすことが一番コスパのいい勉強になることもあります。必ず自分の志望校の募集要項で配点を確認してください。

自分で配点を見て判断する手順

  1. 志望校の配点を調べる:二次試験の科目別配点と、共通テストが何点に換算されるかを確認します
  2. 差がつきやすい科目を知る:合格者と不合格者で点差が開きやすい科目はどれかを考えます。難関大の数学のように、得意な人とそうでない人で点数が大きく分かれる科目は差がつきやすい科目です
  3. 今の自分の点数と伸びしろを並べる:模試の結果などから、科目ごとにあと何点伸ばせそうか、そのためにどれくらい時間がかかりそうかを見積もります
  4. 合計点への効き方で比べる:伸ばせる点数に、その科目が合計点に反映される割合をかけて比べます。一番大きく伸びる勉強から優先します

この手順で考えると、「得意だから伸ばす」「苦手だから埋める」という発想ではなく、「合計点を一番伸ばせるのはどこか」という発想で勉強時間を配分できます。結果として得意科目を伸ばすことになる人もいれば、苦手科目を埋めることになる人もいます。

全員向けのアドバイスをうのみにしない

学校の先生や塾の先生は、いろいろなアドバイスをしてくれます。そのうち、先生があなた個人の状況を見たうえで言ってくれた意見なら、ある程度は信用していいかもしれません。

でも、クラス全体や塾生全体に向けて言っているようなアドバイスは、個人にはほとんど当てはまらないことが多いです。志望校も、得意不得意も、今の点数も、一人ひとり違うからです。

そういうアドバイスにそのまま従うと、利益にならないどころか害悪にすらなります。本当はもっと効率のいい勉強があったのに、その時間を別のことに使ってしまう。機会損失という意味で、合わないアドバイスは害悪になりうるのです。気をつけて、自分で頭を使って判断してください。

よくある質問

苦手科目は放置してもいいのですか

放置していいわけではありません。得意科目も苦手科目も伸ばすべきです。ただ、どちらにどれだけ時間をかけるかは、志望校の配点と合計点への効き方で決めましょう。苦手科目が差のつきやすい科目なら、埋めることが一番コスパのいい勉強になります。

共通テストの過去問はいつから解けばいいですか

志望校によります。共通テストの比率が低い大学なら、二次試験の力を伸ばすほうが合計点への効果は大きいことが多いです。ただし足切りがある大学では、足切りを確実に越えられるかも考える必要があります。「夏に解きなさい」という全体向けのアドバイスに合わせるのではなく、自分の志望校の配点を見て決めてください。

差がつきやすい科目はどうやって知ればいいですか

大学によっては合格者の科目別平均点などを公表しています。予備校の入試分析や過去問の難易度も参考になります。難関大の数学のように、問題が難しく得点がばらつきやすい科目は差がつきやすい傾向にあります。

まとめ

得意科目も伸ばすべきだし、苦手科目も埋めるべきです。大事なのは、志望校の配点を見て、合計点を一番効率よく上げられる勉強は何かを考えることです。東大のように共通テストがほとんど10分の1に圧縮される大学では、共通テストの20点よりも二次試験の数学の20点のほうがはるかに価値があります。

判断の軸
  • 「得意か苦手か」ではなく「合計点にどれだけ効くか」
  • 差がつきやすい科目で負けているなら、そこを伸ばすのが一番効く
  • 共通テストの換算比率と足切りの両方を確認する

全体向けのアドバイスは個人には当てはまらないことが多いです。志望校の配点を自分で確かめ、自分の頭で一番コスパのいい勉強を選びましょう。