模試が返ってくるたびに「復習しなさい」「解き直しノートを作りなさい」と言われます。模試の復習が大事なのはその通りです。ただ、やり方を間違えると時間だけかかって何も残りません。

この記事では、解き直しノートで本当に書くべきことを解説します。ポイントは「どうすれば今後解けるか」だけでなく、「どうしていれば本番で解けていたか」を考えることです。筆者が受験生のころにずっと続けていた方法で、志望校の傾向と対策を立てる力にもそのままつながります。

この記事でわかること
  • 模試の復習がなぜ重要なのか
  • 意味のない解き直しノートの典型
  • 「どうしていれば解けていたか」を書く解き直しノートの作り方
  • 見たことのない問題への対策に「本番で解けていたか」が効く理由
  • この書き方が傾向と対策を立てる力につながる理由

模試の復習はなぜ重要なのか

模試の問題は、予備校の講師がものすごく頑張って作っています。出題範囲のバランスや難易度の配分、本番の傾向まで考えて作られているので、模試はかなり質の高い問題集だと言えます。

しかも模試は、本番と同じように時間を計り、緊張感のある中で解いた問題です。家で問題集を解くときには出てこない、本番ならではの失敗がそのまま答案に残っています。解きっぱなしにするのはもったいなさすぎます。

解説を写すだけのノートは意味がない

一方で、よく見かけるのが問題と解答解説をそのままノートに写す解き直しノートです。これは全く意味がありません。

解説は模試の冊子にもう書いてあります。それを自分の字で写しても、新しい情報は何も増えません。手を動かした満足感は得られますが、次に似た問題が出たときに解ける力はつきません。ノートをきれいに作ること自体が目的になってしまうと、時間だけを使う作業になります。

書くべきは「どうしていれば解けていたか」

解き直しで考えるべきことは2つあります。

視点考えること
どうすれば今後解けるか同じような問題が次に出たら、どう考えれば解けるか
どうしていれば本番で解けていたか模試の前に何をしていれば、あの場で解けていたか

1つ目は多くの人が意識しています。重要なのに見落とされがちなのが2つ目です。筆者は模試を復習するたびに、次の2つをいつも考えて書き込むようにしていました。

筆者が毎回書き込んでいたこと
  • 普段の勉強:もともとどういう勉強を普段から心がけていれば解けたのか
  • 直前の対策:1週間前にどういう対策をしていれば解けていたのか

「計算ミスをした」「公式を忘れていた」で終わらせず、その失点を防ぐために、さかのぼって何をしておくべきだったのかまで考えるのがポイントです。

なぜ「本番で解けていたか」のほうが重要なのか

一度出た問題を解けるようにするのは、言ってしまえば当たり前のことです。解説を読んで理解すれば、その問題はもう解けます。

ところが入試本番で、一度解いたことがある問題がそのまま出ることはまずありません。難しい試験になればなるほど、見たことのないような問題と戦わなければなりません。同じ問題を解けるようにする復習だけでは、本番の点数にはつながりにくいのです。

では、見たことのない問題に対してどうすれば対策できるようになるのか。その答えが「この問題はどうしていれば解けていたのか」を考えることです。模試の問題も、受けた時点では見たことのない問題でした。その未知の問題を解けるようにするには、事前に何をしておくべきだったのかを考える。これを繰り返すことが、本番の未知の問題への備えそのものになります。

書き方の例

たとえば数学の模試で、確率の問題が漸化式を立てる形になっていて手が止まったとします。解説を読めば解き方は分かりますが、それを写しても意味はありません。こう書きます。

解き直しノートの例

  1. 何が起きたか:確率の問題で、n回目とn+1回目の関係に気づかず漸化式を立てられなかった
  2. どうすれば今後解けるか:「回数nが文字の確率」は、1回分の変化に注目して漸化式を立てるのが定石。次に見たらまず1回分の推移を図にする
  3. 普段の勉強でどうしていれば解けたか:確率と数列を別々の分野として勉強していた。分野をまたぐ典型問題を、網羅系参考書で意識して解いておくべきだった
  4. 1週間前にどうしていれば解けたか:この模試の過去の問題を見ていれば、確率と漸化式の融合がよく出ることに気づけた。直前に融合問題を数題解いておけば本番で反応できた

3と4を書くと、自分の勉強の仕方そのものの穴が見えてきます。解説を写すのとは、得られるものがまったく違います。

この書き方は傾向と対策の練習になる

「どうしていれば解けていたか」を考えることは、そのまま傾向と対策を立てる練習になります。

受験勉強の本質は、目標となる試験があったときに、それに対してどういう対策を立てればいいかを考えて実行することです。志望校の過去問を分析して、どんな問題が出るのか、そのために普段から何をして、直前に何をすべきかを決める。これは模試の解き直しで毎回やっていることと同じ構造です。

模試のたびに「普段から何をしていれば」「1週間前に何をしていれば」と考えていると、ある問題や目標に対してどう対策を立てればいいかを考える力が、ダイレクトに鍛えられていきます。模試の解き直しは、1つの問題を解けるようにするだけでなく、受験全体の作戦を立てる力を育てる場でもあるのです。

解き直しノートを作るときの注意点

  • 全部を書かない:ノートに書くのは、取れたはずなのに落とした問題と、対策が見えた問題に絞ります。手も足も出なかった難問は、解説を読んで理解するだけで十分なこともあります
  • きれいに作らない:模試の問題用紙や解説冊子に直接書き込んでも構いません。大事なのは形式ではなく中身です
  • 次の模試の前に見返す:「1週間前にどうしていれば」と書いたことは、次の模試や本番の1週間前にそのまま実行できる対策リストになります

よくある質問

解き直しノートは作らないといけないのですか

形式としてのノートは必須ではありません。大事なのは「どうしていれば解けていたか」を考えて書き残すことです。問題用紙に書き込む形でも、スマホのメモでも構いません。

模試の復習はいつやればいいですか

できるだけ早いほうがいいです。自分がその場で何を考えて、どこで止まったかの記憶が新しいうちでないと、「どうしていれば解けていたか」を正確に考えられません。

どの科目でも同じやり方でいいですか

同じ考え方が使えます。英語の長文で時間が足りなかったなら、普段どんな読み方をしていれば、直前にどんな練習をしていれば間に合ったのかを考えます。科目が変わっても「さかのぼって対策を考える」という軸は変わりません。

まとめ

模試は予備校講師が力を入れて作った質の高い問題なので、復習する価値は大いにあります。ただし解説を写すだけのノートには意味がありません。どうすれば今後解けるかに加えて、普段の勉強や1週間前の対策でどうしていれば本番で解けていたかを考えて書き込みましょう。

解き直しで毎回考えること
  • どうすれば今後解けるか
  • 普段からどういう勉強をしていれば解けたか
  • 1週間前にどういう対策をしていれば解けたか

この視点で復習を続けると、目標に対して対策を立てる力そのものが鍛えられ、志望校対策にもそのまま生きてきます。