「この参考書の次にこれをやれば合格できる」という参考書ルートがネットにあふれています。便利そうに見えますが、そのとおりにやっても成績が伸びない人がたくさんいます。ネットの参考書ルートの多くは本来の考え方から外れているからです。この記事ではその問題点と、筆者が受験生のときに実際にやっていた参考書の選び方を紹介します。

参考書ルートはもともと一人ひとりに組むもの

参考書ルートは授業をしないタイプの個別指導塾が言い出した考え方です。塾で個人面談をして「あなたはこのルートで進めましょう」と組んでもらうのなら意味があります。目的も今の実力も進むスピードも本人に合わせて決められるからです。

ところがネットでよく見かけるのは「ゼロから始めてもこの参考書を順番にやれば東大レベルまで行ける」「早慶レベルまで届く」といった画一的なルートです。誰にでも同じ順番を当てはめた時点で参考書ルートの本来の理念からは大きく外れています。

同じ本でも学べることは人によって違う

同じ参考書をやっても何を学べるかは人によって違います。学ぶスピードも違いますし、書いてあることが全くわからない箇所に出くわすこともあります。画一的なルートにはそうしてつまずいたときの拠り所がありません。

ルートを作る側もそれなりに指導経験のある人たちなので「この本だけでは全部は身につかないだろう」と考えて内容が重なる参考書を次に並べてきます。しかし1冊目がうまくハマって多くを吸収できた人なら次の本は要りません。全員に重複のある本を何冊もこなさせるルートは多くの人にとって効率が悪すぎます。

本質的でない理由で選ばれた参考書

ネットの参考書ルートは質が低いものが多いと筆者は考えています。多くの人に受けるよう作られているのでネットのボリュームゾーンである偏差値50前後に合わせて本が選ばれています。その結果「レイアウトがきれい」「イラストが多い」「色がたくさん使われている」「文字が大きい」といった本質的でない点が褒められ、本当に良い参考書があまり取り上げられていません。

特に弱いのが理系です。当サイトが理系科目に力を入れているのもそのためです。数学では長いあいだ基礎問題精講が定番のように推されてきました。

基礎問題精講を勧めない理由

基礎を定着させる段階で問題集を選ぶこと自体がナンセンスだと筆者は考えています。基礎を固めたいならまず講義形式の本で理解を深めるべきで、いきなり問題集をこなさせるのはかなり乱暴な教え方です。

青チャートなどに比べて分量が少なく周回しやすい点は良いところです。知識を定着させる段階で1周に何時間もかけるのは良くないので分量の面では向いています。ただもっと分量が少なくもっと良い参考書はほかにたくさんあります。

勘違いしてほしくないのは同じシリーズの入門問題精講は別物だということです。著者が違い、初学者には絶対におすすめできる本当に神参考書です。

冊数が多すぎて誰もこなせない

現代文だけで何冊も参考書をやらせるルートもあります。出版社の都合を疑いたくなるほど冊数が多く非常に非効率です。ルートのすべてを完璧にこなして段階どおりに目標に届く人はまずいないと思っておいてください。

ルートに縛られて「こなすこと」が目的になる

参考書ルートに縛られすぎると参考書をこなすこと自体が目的になってしまいます。ネットでよく見かけるのが1冊目がまだ終わっていないのに「次は何をやればいいですか」と質問している人です。次の本を考えている時点で今の1冊に集中できていません。

筆者がやっていた参考書の選び方

入試は傾向と対策です。筆者は受験生のとき次の順番で参考書を決めていました。

  1. 目標を決める:大学合格なのか定期テストなのか
  2. 分析する:大学なら過去問を、定期テストなら過去のテストを見てどうすれば点が取れるかを考える
  3. 逆算して1冊だけ決める:今の自分に足りないものを埋める本を1冊選ぶ
  4. その1冊を仕上げる:自分が思う達成度に届くまでは次の本のことは考えない

1冊を仕上げてからもう一度過去問と自分を見比べて次の1冊を決めます。先の本のことは今の1冊を仕上げてから考えれば十分です。周回の考え方は参考書は何周すべきかの記事で、過去問を早く使う理由は予想問題集の記事で詳しく解説しています。

参考書診断を作った理由

とはいえ過去問を分析して自分で1冊を選べる受験生ばかりではありません。そこで目的・今の実力・志望校・苦手分野から今のあなたに合う1冊を出せるように作ったのが当サイトの参考書診断です。定期テスト・共通テスト・二次のどれを目指すかで質問の中身が変わるのもそのためです。

ただし診断の結果はあくまで出発点です。実際にやってみて合わないと感じたら遠慮なく軌道修正してください。