「マスター・オブ・整数」は、『大学への数学』の東京出版による整数問題の専門書で、整数問題の典型がまとめられています。ただし新課程になってから整数問題の出題は絞られる傾向にあり、どの受験生にも勧められる本ではなくなっています。この記事ではレベル・構成・使い方に加えて、そもそもこの本に時間をかけるべきかの判断基準を解説します。

この本の基本情報
出版社東京出版(大学への数学 増刊)
著者栗田哲也 ほか
ページ数B5判112ページ
構成4部構成(基本16テーマ/手筋まとめ/大学入試演習/興味深い問題)
レベル基礎〜大学受験の最高峰
マスター・オブ・整数(東京出版)の表紙

どんな本か

整数問題の基本となる考え方を系統的に学べる問題集です。誰もが一度は通るべき問題や、面白いと定評のある問題を典型的な形で示し、問題を解くなかで必須の手法や高度な考え方が自然に身につくよう工夫されています。

  1. 第1部:素因数分解・最小公倍数と最大公約数・周期性と対称性・ユークリッドの互除法・合同式・循環小数と二進法など16テーマ
  2. 第2部:公式・イメージ・手筋のまとめ
  3. 第3部:大学入試演習
  4. 第4部:興味深い問題の演習

取り組む前に:志望校で整数が出るかを調べる

新課程では、整数は数学Aの「数学と人間の活動」という単元に入りました。この単元は共通テストの出題範囲に含まれていません。個別試験では数学Aの単元をまるごと範囲から外す大学は少ないものの、整数問題の出題は絞られる傾向にあります。

そのため、この本に取りかかる前に、志望校の過去数年分の問題で整数がどのくらい出ているかを慎重に調べてください。ほとんど出ていない大学なら、この本に時間を使う必要はありません。

これだけの時間をかけるべきか

整数問題は、しっかり対策しても本番でまったく見たことのない問題が出て、努力が水の泡になることがある分野です。典型を覚えれば確実に得点につながる分野とは性質が違います。

たとえば微積分や確率がまだ固まっていないなら、そちらを優先すべきです。どちらも出題頻度が高く、対策した分だけ点数が伸びやすい分野だからです。この本に取り組むのは、ほかの頻出分野が固まったうえで、志望校で整数がよく出る場合に限るのがおすすめです。

レベル:基礎から最高峰まで

出版社は「実力上位の中学生が無理なく解ける内容から、大学受験の最高峰レベルまで」と紹介しています。第1部は基礎から始まりますが、第3部・第4部は難関大の入試や数学オリンピック予選に近いレベルまで上がります。教科書で整数を学んだばかりの段階では、後半は難しく感じるはずです。

いつから始めるか

  • 志望校の過去問で整数がよく出ている人:微積分や確率などの頻出分野が固まってから
  • 整数をすでに得点源にしている人:網羅系参考書で整数の典型問題を終えたら、さらに伸ばす目的で

整数の典型問題に不安がある人は、先に整数問題の頻出解法パターンを確認してから取り組むと入りやすくなります。

使い方:第1部と第3部を軸に

  1. 第1部の16テーマを順に解き、整数の基本的な手法を身につける
  2. 第2部の手筋まとめは、問題を解きながら折に触れて眺める
  3. 第3部の大学入試演習で、身につけた手法を入試問題で使えるか確かめる
  4. 第4部は余裕がある人や、整数を本当の得点源にしたい人だけでよい

何周やるべきか

第1部と第3部を2〜3周が目安です。整数は一度解き方が分かっても、時間が経つと発想を忘れやすい分野です。解けなかった問題は、数週間あけて解き直しましょう。

向いている人・向いていない人

向いている人
  • 志望校の過去問で整数問題がよく出ている人
  • 微積分や確率などの頻出分野が固まっていて、整数を伸ばしたい人
向いていない人

志望校で整数がほとんど出題されない人や、微積分・確率などの頻出分野がまだ固まっていない人は、ほかを優先しましょう。整数の基礎が固まっていない人には後半が難しすぎます。

あわせて使う本

  • 標準問題精講 分野別(整数):入試の標準レベルの整数問題を集中的に演習する
  • 1対1対応の演習 数学A:整数の典型問題を整理する(使い方の記事)

よくある質問

文系でも使えますか?

使えます。本書は数学Ⅲの知識を必要としません。ただし文系でも、志望校で整数が出題されているかを先に確認してください。

共通テストに整数は出ますか?

新課程では整数を含む「数学と人間の活動」は共通テストの出題範囲外です。共通テスト対策としてこの本に取り組む必要はありません。

数学オリンピックの対策になりますか?

第4部には数学オリンピック予選に近いレベルの問題があり、入門としては役立ちます。本格的な対策には専門の問題集が必要です。

この記事で紹介した参考書

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