共通テストの数学で「時間が足りない」という悩みはとてもよく聞きます。実力を伸ばすのはもちろん大事ですが、解く順番と時間の使い方を決めておくだけで点数が変わることも少なくありません。

ただし最適な戦略は、目指す点数によってまったく違います。この記事では、70〜80点を目指す人と満点を目指す人に分けて、数学I・Aと数学II・B・Cそれぞれの解く順番を、京大生の筆者が実際にやっていた方法とともに解説します。

この記事でわかること
  • 共通テスト数学I・A/II・B・Cの大問構成
  • 目指す点数によって戦略がどう変わるか
  • 数学I・Aを満点狙いで解くおすすめの順番と、図形の性質を最後に回す理由
  • 数学II・B・Cの各大問の性質と、何を最後に回すかの考え方
  • 自分なりの順番を作るための予想問題集と過去問の使い方

共通テスト数学の大問構成

2025年度の新課程から、共通テストの数学は次の形になっています。どちらも試験時間は70分、配点は100点です。

数学I・A:大問4つ、すべて必答

大問主な分野
第1問数と式・図形と計量
第2問2次関数・データの分析
第3問図形の性質
第4問場合の数と確率

数学II・B・C:大問7つ、第4〜7問から3問を選択

大問主な分野
第1問三角関数必答
第2問指数関数・対数関数必答
第3問微分法・積分法必答
第4問数列選択
第5問統計的な推測選択
第6問ベクトル選択
第7問平面上の曲線・複素数平面選択

どの分野がどの大問に入るかは年によって多少入れ替わります。上の表は大まかな目安として見てください。

大前提:目指す点数で戦略は変わる

70〜80点を目指す人は時間を決めて機械的に動く

共通テストの大問は、どれも前半が簡単で後半に行くほど難しくなります。最後まで解き切るのはかなり至難の業です。逆に言えば、各大問の前半の解きやすいところを拾っていけば、70点や80点はかき集められます。

満点を目指さないなら、全部を解く必要はありません。大問1から大問4のそれぞれにかける時間だけを先に決めておき、時間が来たらどんな状態でも次の大問に進む。この戦略なら解く順番はそれほど関係ありません。大事なのは、1つの大問の後半で粘って、ほかの大問の簡単な前半を落とさないことです。

満点を目指す人は解く順番が重要になる

東大や京大などの難関大を目指す人には、満点を狙う人も多いと思います。満点を狙うなら全部の問題を解かなければならないので、どの順番で解くかが非常に重要になります。ここからは満点を目指す人向けの解く順番を解説します。

数学I・Aのおすすめの解く順番

リズムをつかむ第4問 場合の数と確率
↓
それなりに時間をかけて確実に第1問 数と式・図形と計量
↓
それなりに時間をかけて確実に第2問 2次関数・データの分析
↓ 残り時間をすべて使う
最後に集中第3問 図形の性質

これは筆者が実際にやっていた順番です。

最初は確率でリズムをつかむ

場合の数と確率は、解くパターンがある程度決まっていて時間が読みやすい分野です。最初に片づけてしまうことで試験のリズムをつかめます。

図形の性質を最後に回す理由

図形の性質は、数学I・Aの中で間違いなく一番難しい範囲です。満点をコンスタントに取れる実力がある人でも、図形の途中でなぜか引っかかって無駄に時間を食うことがよくあります。筆者もそうでした。

2026年度の本番の例

2026年度の共通テストでは、図形の性質の大問でメネラウスの定理に気づかなければ、大問の半分ぐらいで手が止まってしまいました。東大や京大を目指すような人たちでも、メネラウスに気づけた人は結構少なかったのです。図形の問題にはこうした落とし穴があります。

ほかの大問を残したまま図形の最後まで頑張るのはギャンブルです。図形にこだわって確率やデータの分析を落としたら元も子もありません。

図形以外の大問を先に終わらせておけば、残り時間をすべて図形に使えます。後のことを気にせず図形だけに集中できるので、結果的に点数が良くなります。もちろん図形が得意で先に挑戦したい人はそれでも構いませんが、基本的には最後に回すことをおすすめします。

数学II・B・Cの解く順番の考え方

数学II・B・Cは、数学I・Aよりも個性が出ると思います。70〜80点を目指す人は、数学I・Aと同じく大問ごとに時間を決めて機械的に動けば十分です。

満点を目指す人は自分の順番で解いて構いません。ただし各大問の性質をしっかり知っておくことが大切です。

選択問題(第4〜7問)の性質

大問性質
数列難しくなりがちで時間がかかる。項が1つ2つずれただけで答えが崩れる
統計的な推測完全なパターン問題。点数が安定しやすく短時間で解ける
ベクトル内容は簡単だが計算量が多い。計算ミスすると崩れる
平面上の曲線・複素数平面典型問題が中心で難しくない。ただし2分野とも出るので分量が多い

数列は共通テストでは難しくなりがちな分野です。数列はただでさえ1項、2項のずれが問題全体に響きます。共通テストは答えが合っているかどうかだけを見る穴埋め形式なので、途中でずれると後ろの設問がすべてなだれのように崩れてしまいます。そのぶん時間もかかります。

統計的な推測は本当にパターンゲーです。過去問を10年分ぐらい解いてしまえば、あとは同じような問題ばかりになります。点数が安定しやすく、短時間で解きやすい分野です。

ベクトルは内容としては簡単ですが、計算量が多く時間がかかりがちです。計算ミスをするとやはりなだれが起きます。

平面上の曲線・複素数平面は、もともと理系の範囲だったので難しいと思われがちです。でも文系の人も解くことが想定されているので、かなり典型的な問題が出るようになっています。去年と一昨年の傾向を見ても、あまり難しい問題は出ていません。ただし平面上の曲線と複素数平面の両方が出るので、分量は多くなることが多いです。

一番重いのは必答の第2問・第3問

第4問以降は、内容的には軽い問題です。一番重いのは、第3問の微分法・積分法や第2問の指数関数・対数関数です。ここで突っかかってしまい、第4問以降がまったく解けないという事態は避けたいところです。

何を最後に回すかを決める

数学I・Aで図形の性質を最後に回したのと同じで、数学II・B・Cでも「時間がかかって崩れやすいもの」を最後に回すのがポイントです。候補は次の3つです。

最後に回す候補
  • 重い必答の第2問・第3問を最後に回し、軽い第4問以降を先に確実に取る
  • 難しくなりがちな数列を最後に回す
  • 計算量の重いベクトルを最後に回す

筆者のおすすめは、数列やベクトルを最後に持ってくることです。逆に統計的な推測のように短時間で安定して解ける大問は、数学I・Aの確率と同じく先に片づけてリズムをつかむのに向いています。どれを最後にするのが合っているかは人によって違うので、次の方法で自分のパターンを作ってください。

自分の順番は予想問題集と過去問で作る

解く順番は、本番でいきなり決めるものではありません。河合塾・駿台・Z会などが出している予想問題集や、共通テストの過去問を時間を計って解くことで、自分なりのパターンを作っていくのが一番です。

  • 必ず本番と同じ70分を計って解く
  • 大問ごとにかかった時間を記録する
  • 順番を変えて解き比べ、点数が安定する順番を探す
  • 統計的な推測のようなパターン問題は、過去問をまとめて解いて型を覚える

順番を変えるときはマークミスに注意

問題番号の順に解かないと、マークする欄がずれる危険が高まります。大問を移るたびに、マークする位置を確認する習慣を練習のときからつけておきましょう。

予想問題集

共通テスト総合問題集 数学I・A(河合塾)の表紙共通テスト総合問題集 数学II・B・C(河合塾)の表紙

河合塾 共通テスト総合問題集(数学I・A/数学II・B・C)。河合塾の模試をもとにした問題集で、本番形式で何回分も演習できます。

共通テスト実戦問題集 数学I・A(駿台)の表紙共通テスト実戦問題集 数学II・B・C(駿台)の表紙

駿台 共通テスト実戦問題集(数学I・A/数学II・B・C)。本番形式の問題を何回分も収録していて、時間を計った演習に向いています。

共通テスト実戦模試 数学I・A(Z会)の表紙共通テスト実戦模試 数学II・B・C(Z会)の表紙

Z会 共通テスト実戦模試(数学I・A/数学II・B・C)。本番を想定した模試形式で、予想問題の数をこなしたい人におすすめです。

過去問

共通テスト過去問研究 数学I・A/II・B・C(教学社)の表紙

共通テスト過去問研究 数学I・A/II・B・C(教学社)。共通テストの過去問をまとめて解けます。統計的な推測のようなパターン問題の型を覚えるのにも使えます。

予想問題集は毎年新しい年度版が出ます。買うときは最新の年度版を選んでください。

よくある質問

満点を目指していないのに解く順番を変える必要はありますか

あまりありません。70〜80点を目指すなら、順番よりも大問ごとの時間配分を守ることのほうが大切です。時間が来たら必ず次の大問に進み、各大問の前半の取りやすい点を確実に拾ってください。

図形の性質が得意なら先に解いてもいいですか

構いません。ただし得意な人でも途中で引っかかることがあるのが図形の怖いところです。2026年度のように、ある定理に気づくかどうかで大問の半分が止まる年もあります。最後に回せば、引っかかっても残り時間をすべて使えるので安全です。

数学II・B・Cの選択問題はどれを選べばいいですか

各大問の性質を見て、自分が安定して解けるものを選びましょう。統計的な推測はパターンを覚えれば安定しやすく、平面上の曲線・複素数平面も典型問題が中心です。数列とベクトルはなだれが起きやすいので、選ぶなら最後に回すことも考えてください。

まとめ

共通テスト数学の解く順番は、目指す点数によって考え方が変わります。70〜80点を目指すなら大問ごとに時間を決めて機械的に動けば十分で、順番はそれほど関係ありません。満点を目指すなら順番が重要で、数学I・Aは確率から入って図形の性質を最後に回すのがおすすめです。数学II・B・Cは各大問の性質を知ったうえで、重い必答問題・数列・ベクトルのどれを最後に回すかを決めましょう。

70〜80点を目指す人

大問ごとの時間を決め、時間が来たら必ず次へ進みます。各大問の前半で点を拾います。

満点を目指す人(数学I・A)

第4問 確率 → 第1問 → 第2問 → 第3問 図形の性質の順に解きます。

満点を目指す人(数学II・B・C)

各大問の性質を知り、時間がかかって崩れやすいものを最後に回します。

最適な順番は人によって違います。予想問題集と過去問を時間を計って解き、本番までに自分のパターンを作っておきましょう。

この記事で紹介した参考書

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