「微積分 基礎の極意」は、『大学への数学』の東京出版による数学Ⅲの微積分の本です。タイトルに「基礎」とありますが、中身は入試の微積分を得点源にするための考え方が詰まった1冊です。この記事ではレベル・構成・使い方を解説します。
| この本の基本情報 | |
|---|---|
| 出版社 | 東京出版(大学への数学 増刊) |
| 著者 | 栗田哲也・福田邦彦・坪田三千雄 |
| ページ数 | B5判128ページ |
| 構成 | 計算訓練/手筋・常識・落とし穴/入試の有名問題の3部 |
| レベル | 教科書〜入試の標準・やや難 |
どんな本か
微積分特有の計算や考え方に慣れ、無限の扱い方を感覚的に身につけることを目指した本です。厳密さよりも、身近で感覚的な理解を重視しているのが特徴で、出版社は「入試問題の8割は本書でカバーできる」としています。
構成は次の3部です。
- 第1部:応用問題で計算に煩わされないための計算訓練
- 第2部:有力な手法・よくある落とし穴・知っておくと役立つ常識など、約200のポイントを短くまとめたもの
- 第3部:大学入試の有名問題・典型問題の解説
この本の価値の中心は第2部です。「なぜそう考えるのか」が1ポイントずつ短く書かれていて、微積分の問題を見たときの引き出しが一気に増えます。
「数Ⅲは暗記」の本当の意味
数学Ⅲは暗記科目だとよく言われます。ただ、教科書や青チャートに載っていることを馬鹿正直に暗記しても入試では役に立ちません。暗記しなければならないのは、入試問題レベルのハイレベルな典型問題です。
この本は、その入試レベルの典型がコンパクトにまとまっている1冊です。網羅系参考書の例題を一通り覚えたあとに、本当に覚えるべき典型をこの本で押さえる、という使い方が一番効果的です。
レベル:タイトルに反してかなり難しい
タイトルの「基礎」は、入試の微積分で土台になる考え方という意味で、内容はかなり難易度が高い本です。教科書と網羅系参考書で数学Ⅲの微積分を一通り学んでから読むのが前提です。第2部の各ポイントには難易度が示されているので、自分のレベルに合わせて読む範囲を選べます。
注意:答案に書くと減点されかねない解法がある
本書には、高校数学の範囲では答案に書くと減点されかねない解法がいくつか載っています。たとえば次のようなものです。
- はみ出し削り論法:積分の評価などで使われる、図形のはみ出した部分と足りない部分を比べて極限を求める考え方
- 図形的に極限を予想する方法:図から極限値の見当をつける考え方
これらは答えの見当をつけたり、方針を立てたりするのにはとても強力です。ただ記述式の答案では、教科書の範囲で説明できる形に書き直す必要があります。答えの確認や方針立てに使い、答案は正攻法で書く、と使い分けましょう。
いつから始めるか
- 数学Ⅲの授業が終わった直後:第1部と第2部の易しいポイントから
- 受験対策を本格的に始める時期:第2部をすべてと第3部
数学Ⅲの網羅系参考書と並行して使うと、網羅系で学んだ解法の背景が分かり、理解が深まります。
なお本書は新課程に合わせた改訂は行われていませんが、数学Ⅲの微積分の内容は大きく変わっていないので、今の入試にもそのまま使えます。
使い方:第2部を何度も眺める
- 第1部の計算訓練で、微積分の計算の型に慣れる
- 第2部を一度通読し、知らなかったポイントに印を付ける
- 第3部の入試問題に取り組み、第2部のどのポイントが使われているかを確認する
- 第2部は1回で終わらせず、空き時間に何度も眺める
第2部は一つひとつが短いので、通学時間などのすき間時間に繰り返し読むのに向いています。問題を解くときにポイントが自然に浮かぶようになれば完成です。
何周やるべきか
第1部と第3部は2周、第2部は印を付けたポイントを中心に何度でもが目安です。第2部は周回というより、入試直前まで手元に置いて読み返す本だと考えてください。
向いている人・向いていない人
- 数学Ⅲの微積分を得点源にしたい理系受験生
- 網羅系の例題は覚えたが、入試レベルの典型で手が止まる人
網羅系参考書で数学Ⅲの微積分を一通り学んでいない人には難しすぎます。また紹介されている解法の一部は、そのまま答案に書くと減点されかねない点に注意が必要です。
あわせて使う本
微積分を意味から理解する考え方は微積分の本質は「一次近似」|公式を丸暗記せずに意味から理解する方法を京大生が解説でも解説しています。
よくある質問
数学Ⅱの微積分にも使えますか?
主な対象は数学Ⅲの微積分です。数学Ⅱの微積分だけを学びたい人には、扱う範囲が広すぎます。
網羅系参考書の代わりになりますか?
なりません。典型問題を網羅する本ではないので、網羅系参考書と並行して使いましょう。
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